スタートトュデイCEO 前澤友作さん

株式会社スタートトゥデイ代表取締役社長、

株式会社ZOZOファウンダーの前澤友作さんが、

みんなに一番読んでもらいたいと思っているご自身の投稿文章をご紹介します。

経営者としての前澤さんご自身の経験を通しての気づきとご考察、学びを、率直に語ってくださって感謝です。前澤さんのような経営者さんが、日本でも、そして世界でも、これからどんどん増えていかれることと思います。

私の言葉で申しますと、『私たちはみな、一人ひとり、七色(虹色)の個性と才能(ギフト)を持って生まれてきました。誰しもが、唯一無二の存在です。パズルのピースの様に、形も色も、配置(役割)も様々です。そして、その一つひとつの個性(役割)が重なりあって、一つの大きな絵(美しい完璧な世界)が完成します。それが、この世の中の在り方であり、私たちが地球に生まれてきた理由です。』

世界中のみんなが、自分の本当の色(個性)をキラキラと輝かせて毎日を生き、笑顔と喜びに満ち溢れた社会の実現が楽しみです!

どうぞ、あなたが本物のあなたとして生きることを、楽しんでくださいね。

 

ひとつだけ後悔していること。「抽選採用」の構想へ

2016/8/8

 

リンゴ栽培と会社組織

 

18年間の会社経営の中で、ひとつだけとても後悔していることがあります。

 

僕の意思で、ある社員を解雇したことです。13年前の話です。

 

とくに事業の行き詰まりで人件費を削減したかったわけではありません。
その社員が何か不正を働いたり、勤務態度が悪かったりというわけでもありません。
日ごろの言動などを見ていて、
なんとなく「この会社の社風には合わないのでは?」という曖昧な理由でした。

 

その当時、何かの本を読んでいる時に、
解雇についての考え方を、どこかの社長さんが語っているのをたまたま目にし、
情けないことに、その考え方に影響を受け、社員の解雇を決めてしまったのです。
 

その本にはこんなことが書いてありました。
「解雇とはリンゴの栽培に似ている」と。

 

たとえば、リンゴの木に10個の実がなっていたとします。
そのうちの1個がなんらかの原因で、
小さかったり、痩せていたりして、売り物になりそうにないと判断した場合、
他の9個に栄養を集中させるために、
その1個のリンゴを収穫前にもぎ取って捨ててしまいます。

 

これは会社組織と一緒だと。

 

冷酷ではあるけれども、時には会社は利益を上げるために、
そのような判断をしなければならないと。
それを読んだ時は、「ごもっともだ。
自分が農家の人だったらきっと同じことをするし、
この人は正しいことを言っている」と、そう思いました。

 

解雇を通知したのは、それからすぐの、ある朝でした。
社長室から泣いて飛び出していくその社員を見て、
社内のスタッフたちもすぐに何が起きたのかを理解しました。

 

その後すぐに、解雇になった社員の仲間数人が社長室にやって来ました。
「社長! なんでですか? 今までにはいなかったタイプの社員ですけど、
僕たちとは仲良くやってたし、
仕事だって何の問題もなくやってくれてたじゃないですか! なんでですか!?」

 

僕は黙ってしまいました。
もちろん、リンゴ栽培の話なんかできませんでした。

 

「ごめん、許してくれ」
結局、そのくらいしか言葉が出てきませんでした。
それでも、「これは俺の決断だ。会社の未来を想っての苦渋の決断なんだ」
と強く自分に言い聞かせ、毅然とした態度でその日は会社を後にしました。

 

いったい何をしているんだ

 

しばらく頭からそのことが離れませんでした。引きずっていました。
自分のしたことは正しかったのか、そこに正義はあるのか、あらためて深く考えました。

 

リンゴの栽培についても、もう一度考えてみました。
小さかったり、痩せていたり、なんとなく売り物になりそうにないというだけで、
もぎ取られて捨てられてしまうリンゴ。
これを人や会社や社会全体に置き換えて考えた時、
自分の血の気が引いていくのがわかりました。

 

自分は、会社にとって都合の良い人材だけしか見ていなかったのではないか。
少しでも違和感があったり、価値観が違ったりするだけで、
それをリンゴと同じように排除しようと考えていたのではないか。

 

さらに考えると、社会にはいろいろな人がいる。
病気の人もいるし、障がいを持つ人もいるし、社会的に恵まれない人もいる。
そういう人をもぎ取って捨て、自分たちに都合の良い人たちだけを選び、
自分たちばかり楽しんで利益を上げようとしている。
いったい何をしているんだ、と。

 

小さかったり、痩せていたり、そんな困っているリンゴがあるならば、
他の元気な9個のリンゴが力を合わせて、栄養を与えたり勇気を与えることで、
救えるんじゃないか。

 

諦めてもぎ取るんじゃなくて、
同じ木の下に育った仲間同士、みんなで助け合えるんじゃないかと。

 

どんな人でも活躍できる社会

 

これは社会に当てはめても大切なことだと感じています。

 

困っている人や弱っている人を見捨てるのではなく、
積極的に助けて救っていく。
居場所のない人や、生きがいが見つからない人に、積極的に場所とチャンスを提供する。
そういったことができるのが会社であり、
そういう会社の集合体が、
支え合い励まし合う社会につながっていくのではないかと思うのです。

 

そういう意味で、会社が人を採用して、雇用するというのは、
非常に重い社会的責任が生じるものだと思っています。
社会から排除されたと感じた若者が、
恨みや疎外感を理由に凶悪な犯罪を起こすケースが後をたちません。
これももしかすると、少なからず会社に原因があるのかもと思うと、
なおいっそう会社経営の責任の重さを痛感するのです。

 

僕は会社を通して
「どんな人でも活躍できて、どんな人でも楽しんで働ける社会の創造」を目指しています。
もちろん、まずは自分たちからということで、
近い将来にチャレンジしたい採用方法があります。

 

「抽選採用」です。

 

「求人募集に応募していただいた方の中から、抽選で〇〇名様に内定を出します」
という感じのものです。
ふざけるなと思う方もいるかと思います。選ばれる方は必死でやっているんだと。

 

ただ、これは「選ばない採用」です。どんな人でも受け入れる採用です。

 

残念ながらまだまだ企業規模の問題で、
応募してくれるすべての人を受け入れることはできなくても、
選ばないことで、どんな人でも受け入れられる、
強い会社にしていくことはすぐにでも始められます。

 

どんな人でも活躍できて、どんな人でも楽しんで働ける会社。
まずは自分たちが実現したいと思っています。

 

 
 

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